外来担当表

午前 不整脈・失神専門外来(河村)※1 河村※2 伊藤 河村
午後
伊藤
診療受付時間
午前9:00-11:50/午後14:00~16:00   ※1 9:00~11:30  ※2 9:00~11:00

当センターの概要

当院の不整脈・失神センターは2021年2月に新しく開設されました。日本不整脈心電学会認定不整脈専門医研修施設にも認定されています。

不整脈センターは全国でも増えてきていますが失神センターは日本ではとても少なく、不整脈センターと失神センターを合併している施設はほとんどありません。しかし不整脈と失神は深い関係があり広い観点から診断・治療することが患者さんに大切と考え開設させていただきました。

不整脈は無症状のものから動悸・めまい・ふらつき・息切れや意識消失(失神)などの多彩な症状をきたします。経過観察で良いものから、緊急治療が必要なものまで様々です。そのため、正確に診断することがとても重要です。我々は、この様な症状を認める患者さんに対して問診、診察と検査から正確に診断して適切な治療法を患者さんと相談して決めていきます。当センターでは、河村と伊藤がアメリカのカリフォルニア大学で習得してきた最先端の医療技術と先端医療機器の3D マッピングシステムや最新の血管撮影装置を導入し、安全かつ迅速に診断・治療することが可能であり血管撮影装置による被曝を最小限に抑えて施行しています。

何か不安や心配事があれば遠慮せずに診察にいらしてください。

対象疾患

  • 徐脈性不整脈(脈が遅い):房室ブロック、洞不全症候群、徐脈性心房細動、洞性徐脈
  • 頻脈性不整脈(脈が速い):心房細動、心房粗動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室細動
  • 期外収縮(脈が飛ぶ):心室性期外収縮、心房性期外収縮
  • 原因不明の失神
  • 原因不明の脳梗塞

頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション治療

心臓が規則正しく拍動するために、微弱な電流が心臓のなかで生じ、心臓の筋肉(心筋)の中を流れていきます。不整脈は、異常心筋から電流が発生し、または傷んだ心筋の周囲を電流が回ることにより発生します。不整脈には、心房から出現する上室性不整脈と心室から生じる心室性不整脈があります。医療技術や医療機器の進歩によりほとんどすべての頻脈性不整脈は治療可能となっています。


不整脈・失神センターでは、頻脈性不整脈の診断として心臓電気生理検査、治療としてカテーテルアブレーションを同時に行っています。心臓電気生理検査では、細い電極カテーテルを足の付け根より心臓の中まで進め、不整脈の診断をします。3次元マッピングシステムを使用し異常な電気信号を心臓の中に留置した電極カテーテルにより記録するとともに、不整脈にともなう異常な電気の流れをコンピューターが描いた仮想の心筋組織のうえに表示することが可能となり、不整脈の起源を詳細に表示します。

不整脈の診断後に、治療用のカテーテルを心臓へ進めます。カテーテル先端を心臓の異常な部位へ近づけ、50度から60度まで温度をあげることにより、ごく限られた範囲の心筋に低温やけどをおこします(高周波アブレーション)。これにより、不整脈の原因となる異常な組織に直接障害を加えるとともに、周囲の正常な組織を温存する治療がカテーテルアブレーションです。


当センターでは、3次元マッピングシステムと最新の血管撮影装置を導入し、患者さんのX線透視による医療被曝を最小限に抑える治療を行っています。さらに治療がスムーズに行えるように血管撮影室担当の看護師、放射線技師や臨床工学士と協力しながらチームとして行っています。

3次元マッピングシステムを用いた、高周波カテーテルによる心房細動アブレーション

心房細動は脳梗塞や心不全の危険因子であり、最も多く認められる不整脈の一つであります。不整脈期限は、左心房に入ってくる4本の肺静脈であり治療としては、肺静脈と左心房の結合部に対して円周状にカテーテル治療をします。術前に撮影したCT画像をマッピングシステムに取り込み, CT画像のうえに治療した部位を赤色の点で表示しています。

入院期間は基本3泊4日でカテーテル時間は準備も含めて約3時間。

成功率は発作性心房細動で約80%、持続性心房細動で約70%です。

心房細動アブレーション時のカテーテル位置

3D画像とアブレーション部位

3次元マッピングシステムを用いた、心室頻拍アブレーション

心室頻拍は致死性不整脈の1つであります。不整脈が心臓のなかを伝わっていく様子を、色で表示しています。赤色で表示されているところが頻拍の起源であり、その部位をカテーテルで治療することにより、心室頻拍は消失しました。

入院期間は2泊3日(年齢、状態により3泊4日)でカテーテル時間は準備も含めて約3時間。

成功率は80-90%です。

心室性不整脈アブレーション時の3Dマッピング画像

徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み手術

当センターでは、徐脈性不整脈(脈が遅い)に対してペースメーカー植え込み手術を施行しております。

血管超音波で血管を直接見ながら行うため、より安全に行うことが可能です。さらには遠隔モニタリングシステムを導入しているためペースメーカーの不具合や不整脈の出現をメールで連絡可能であり早期診断ができます。

ペースメーカー植込み術時の画像

失神の原因精査

失神とは、脳全体の血液の流れが低下し、一時的に意識が失うことです。通常、数秒から数分以内に後遺症を残すことなく回復しますが、転倒して大きな怪我を認める場合もあります。

失神の原因は様々です。心臓の病気が原因となるほか、てんかんや脳卒中といった脳や神経の病気、自律神経の調整がうまくいかず失神(神経調節性失神)、脱水や低血糖によっても失神はおこります。

欧米では失神診療の中心的な役割を担っている多くの失神センターがあり、不整脈専門医が運営に関わっています。しかし日本では不整脈センターと失神センターは別々に運営されているのが現状であり、当院ではこの2つを併合して循環器内科専門医、不整脈専門医が担当しています。さらには脳神経外科と不整脈・失神は深い関連があり当院の脳卒中センターと連携し(脳心連携)診断・治療していきます。

心臓が原因で起こる失神(心原性失神)は、突然死のまえぶれとなることが知られています。したがって、慎重に診断を行う必要があり、早期診断・早期治療が重要となります。当センターでは、心電図、24時間ホルター心電図、2週間ホルター心電図(入浴可能)、皮下植込み型長時間心電計、運動負荷試験、心臓電気生理検査、心エコー、患者さん一人一人にあわせて必要な検査を選び、正確な診断を行っています。

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