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骨シンチグラフィは骨に集積する特殊な薬剤を使用して、「骨代謝」を反映した画像を見ることができます。骨代謝とは骨を破壊する破骨細胞と、骨を作る骨芽細胞によって、古くなったら新しく作り変える働きのことをいいます。がんの骨転移や骨折など骨に異常が起こると、骨代謝が活発になり、画像上に強い黒色で現れます。
骨転移には大きく分けて溶骨型、造骨型の2つの種類があります。溶骨型は転移した部位で骨が溶けてしまうもので、造骨型は骨を造る際に正常な骨組織を造れないものです。これらの型は原発巣によって変わり以下のようになります。
造骨型→前立腺がん、乳がん など
溶骨型→頭頚部がん、肺がん、腎がん など
骨シンチグラフィに使用する薬は造骨型には強く集積する反面、溶骨型にはあまり集積しないという特徴があります。この理由として造骨型は溶骨型と比べて骨代謝が活発に行われているためです。そのため骨シンチグラフィは主に前立腺がん、乳がんの治療前の評価や治療後の定期検査に用いられます。
また骨転移のほかにもレントゲンではわかりにくい疲労骨折や骨髄炎なども骨シンチでは明瞭に描出することができる場合があります。
検査の手順
検査の流れは次のようになります。
来院されたら処置室で骨に集積する放射能を含んだ特殊な薬を肘の血管などから注射します。この薬は薬剤メーカーから当日の朝に届けられる特別な薬なので、当日のキャンセルはお控えください。
2.3時間の待ち時間
注射が終わると3時間の待ち時間です。この待ち時間は注射した薬が全身の骨にたまるのを待つ時間と、余った薬が尿から出ていくのを待つためのものです。この間は特に食事制限や飲水制限はありませんのでご自由にお過ごしください。ただし定期検査でCT検査やエコーの検査が入っている場合は、それぞれ食事制限や飲水制限がある可能性があるので詳しくはスタッフにお尋ねください。
3.撮影の前準備
金属類があるとその部分のみ骨が見えなくなってしまうので、基本的に上下着替えをしていただきます。またこの薬は尿中に排泄されるので着替えが終わりましたらトイレに行っていただきます。この際下着に尿が付着してしまうと画像上で黒く集積し、病気と見間違える可能性があるのでお気を付けください。
5.撮影
撮影は頭から足先まで全身の撮影を約15分(身長によって変わります)、そこから骨転移の多い骨盤、肋骨、頸部の骨に拡大しての撮影を約15分間行います。撮影中は手まで撮影範囲に入れるため身体をベルトで強めに固定しますが、撮影時間が長いため体勢がきついなどありましたら遠慮なくお伝えください。
また撮影中に強い集積があった場合、骨転移と骨折かを鑑別するために過去の骨折歴をうかがうことがありますのでご了承ください。
当院では前立腺がんや乳がんの手術前の骨転移の状況の確認や、手術後の定期検査で骨シンチをおこなっています。他院で手術された方でも気になることがあれば当院の泌尿器科や内科にいらしてください。
放射線部 U